【MHW】環境生物:ゴワゴワ日記【調査】
注)グロ注意。暴力描写が苦手な方は閲覧を控えて下さい。
ゴワゴワは立っていた。龍結晶の地(11)ガストドン3頭のうち1頭の背中である。辺りはとても暑い。さっさと捕獲してマイハウスに戻って冷えたビールでも飲みたい。馴れた手つきで「捕獲用ネット」と「隠れ身の装衣」をポーチから取り出そうとしかけたが、出したのは双眼鏡だった。近頃インターネットで環境生物の調査記録をつけ始めていた私は、ゴワゴワについてもう少し観察してみようかという気になっていた。
2本しか所持していないクーラードリンクのうち1本を取り出した。モンスターのフンを探して走り回っていた途中なので、張込み調査の用意はしていない。2本では心もとない。やはり今日はあきらめて帰ろうかな。ゴワゴワは、立ったり座ったりを繰り返している。チッ・・・いつもどうりか、つまんねえヤツだなゴワゴワ・・・私が舌打ちしたのと同時に、ガストドンがしゃがみこんだ。
ほう、こうなるのか。背中を寝かせたガストドンの上で斜めになっているゴワゴワ。たいした脚力だ。よし、もう少し観察してやろう。私は飲むのを渋っていたクーラードリンク2本のうち1本に口をつけた。
ゴワゴワが誇らしげに立ち上がった。斜めのままである。不覚にもクーラードリンクを吹き出した。これだから調査はやめられない。生物たちの平穏な日常風景、その中に新しい発見を見つけることが楽しい。薄ら笑いを浮かべながら見まもった。ゴワゴワは斜めのまま立ったり座ったり、時には少し跳ねたりして私を喜ばせている。
のそのそとガストドン達が立ち上がりはじめた。ゴワゴワも立ち上がっている。こっちに気づいたのか?もう少し観察していたい。近くに身を隠す場所がないのは知っている。
離れた場所に移動しようかと思い、腰をあげたその時、双眼鏡の中に異変が起こった。
バゼルギウス。突然だった。右から突っこんできて消えたと思ったら左からガストドンを食っている。ガストドンが抵抗できるはずもない。背中に汗が流れ落ちる感覚。暑さのせいなのか冷や汗なのか分らない。私と生物たちの平穏が突然の暴力でぶち壊された。このウンコヤロウ・・・私は武器に手をかけようとした。レウスバスターII。通常弾1と斬裂弾がわずか10か20装填されているだけだった。
かつて仲間達とこのレウスバスターで、狂ったように古龍を狩っていた。バゼルギウスなんて小物は相手にもしなかった。しかし今は形勢が逆転している。「斬裂弾弱体化」という言葉とともに、それまでにつぎ込んだ金・素材・時間とやる気を失った仲間達を、私は失っている。ただ1人、私はバゼルギウスが立ち去るのを双眼鏡で見守るしかなかった。
バゼルギウスはすぐに立ち去った。辺りは静まり返っている。ゴワゴワはどうなっただろうか。私は黒いカタマリになったガストドン達の骸が散らばる場所でゴワゴワを探した。
食われたのだろうか。いや、黒くてよく見えないが何かが動いている。汗まみれになっている双眼鏡をふたたび取り出して覗いて見た。
ゴワゴワが岩に向かって走っている。
ズームイン。
岩に顔をうずめて走っている。そうか、フワフワやゴワゴワがよく岩にはさまっているのはこういう状況から生まれて来るのか。コイツらが載っていた生物が、大型モンスターに襲われた場合、コイツらはパニックになりおかしな事になる。近寄って来るハンターに対する逃走は上手だが、モンスターに対してはうまく逃走する事が出来ないのだろうか。もしくは遠距離から一撃で下の生物を仕留める事が出来たら同じ状況を作れるのかもしれない。
「捕獲用ネット」を向けてみる。赤い反応。捕獲可能だ。生きている。調査記録「ゴワゴワクイナが載っている生物が大型モンスターに襲われると、ゴワゴワクイナが壁に挟まる場合がある。」今日の所はこんなかんじかな。
深呼吸。いい機会なのでついでにもう1つの調査もしておこう。
レウスバスターIIの乾いた銃声。 同時にさきほどのバゼルギウスが何者かによって部位を壊されていると言うアナウンスが流れる。私が撃ったのはバゼルギウスではない。ドドガマルがさきほどのバゼルギウスに爆弾をぶちあてたか、あるいは溶岩噴出口で自爆したか、どちらでもよかった。そのアナウンスを気にもとめず、私はその場を立ち去った。
「うっかり攻撃を加えると死ぬので注意。」